SaaS転職ブームの終焉?時代は「インフラ」だ

もしかしたら、もはや「SaaSはオワコン」なのかもしれない。

外資ITベンダーのトレンド、流れを見ていて、ふとそんなことを思う時がある。

いや、もちろんオワコンと言うのは言い過ぎだ。

SaaSのビジネスモデルは優れているし、市場はこれからも拡大するだろう。日本でもSaaSのスタートアップも続々と生まれていて、他の業界に比べれば、ビジネスの展望は明るい。

にも関わらず、「オワコン」とは何のことを言っているかというと、外資系IT業界の「転職市場」、もっといえばアメリカを発端とする世界の「ITソリューションビジネス」のトレンドにおいて、SaaSのような「ビジネスアプリケーション」が、以前ほどの勢いを失っているような気がする。
つまり、お!と思うような会社が出てきていないんじゃないか?という話だ。

というのも、昨今、この業界で成長企業として注目されているのは、 SaaSよりも、インフラ、セキュリティなど、バックエンド側のプロダクトが目立っている。

具体的には、Snowflake、 Databricks、Datadog、Twillio、Confluent、Mongo DB、Cloudflare、Crowdstrike、Zscalerといった、ITの「インフラ」を支えるような企業たちだ。

「いや、これらの企業もインターネット経由でサービス提供してるからSaaSでしょ」

そう思ったあなた、お詳しいですね。確かにそうです。

実際に、グローバルの「SaaS企業ランキング」などでも、Snowflakeや、Zscalerなどはしっかりランクインしている。

でもSaaSという言葉って、セールスフォースやfreeeのようにユーザーが画面を見て操作するアプリケーションのイメージが強くないですか?
(まぁ元々SaaSの言葉をSalesforceが広めたからというのもあるが。。現場でもその前提で使われていることが多い気がする。「SaaS企業に行く」と言った場合、あまりDWHやセキュリティ企業のことを指すことはないんじゃないか、ということで)

その意味で、僕の主張を正確に言うと、イケてる「アプリケーション」ベンダーが減ってきた、ということになるのかな?書いてて混乱してきました笑

まぁ、とにかく言いたいのは、「業務プロセスを変革」するようなIT企業より「システムの改善」に強みを持ったテッキーな企業の方が、今、勢いがあるんじゃないかってことなんです。

もしかすると、テック企業をこのように「区別」すること自体がナンセンスなのかもしれない。

ただ、前者と後者ではプロダクトの性質上、セールスのアプローチも結構違っていて、前者は、経営層やビジネス部門にアプローチして提案を仕掛けることも多いが、後者はもっぱら情報システム部門に攻め込むことが多い。

それもそのはず、多少の例外はあれど、社長やビジネス部門の役員が「クラウド時代のセキュリティ」などに強い関心があるかと言うと、そうでもないからだ。

やはり、業務を直接的に効率化、変革できるSaaSの方が、ビジネスサイドに提案はしやすい。

そんなわけで、僕にとってはこの2つは結構カテゴリとして区別してしまうのだが、アプリケーションレイヤーで、革新的な会社が減っているのでは無いか、という印象。

もちろんSalesforceやSAPのようなアプリケーションの企業は健在だし、彼らが買収したTableauやSlack、 Concurなど魅力的な製品はある。

しかし、それらの会社に、僕のような業界歴が長い人間が「いまさら転職するか」となるとちょっと魅力に欠ける。

今から、新しいフィールドにチャレンジするなら、企業規模はまだ小さいが、これから「大きく伸びる」市場や企業にトライしたいと思う。

その観点で言うと、今、外資系のスタートアップ転職のトレンドは、SaaSのようなアプリケーションではなく、「セキュリティ」や「データ基盤」、「開発基盤」といった「バックエンド」「インフラ」領域にある気がしている。

別に統計データや明確な根拠があるわけではない。

周りの転職先の「流れ」やエージェントから上がってくる企業名、声をかけてくる企業、米株市場の動き、などを見て感覚的にそう思うだけだ。

実際に、僕の周りで業界歴が長い人たちは、先に上げたテック企業たちに転職する人をよく見かける。

しかも、こういった会社にIBMやSAPやSalesforceといった、バリバリの「アプリ」をやってた人が転職しているのだ。アプリからインフラへと人が流れていっている感覚さえある。

もちろんSaaSの新興企業でも、イケてる企業が無いわけでは無い。ZoomやDocusign、Blacklineなど、一部の業務に特化して強みを持つ企業はある。

しかし、言うなれば、最近のSaaS系のスタートアップは、以前に比べればどこもちょっと「地味」なのだ。

SAPやSalesforceのように、CEOクラスが選定するような、経営にインパクトを与えるレベルのシステムかというと、決してそうではない。

リモート会議や文書管理や契約管理などビジネスの中の「一部」を対象にしたもの、もっと言えば「ニッチ」「小粒」なプロダクトが多い。

社長が話を聞いたところで「まぁ担当者で決めといて」で終わるレベルのものだろう(もちろん考え方によるけど、ERPのグローバルプロジェクトとかに比べたら大した話ではない)

しかし考えてみれば仕方ないことで、ERPはSAPがある、CRMはSalesforceがある、業務ソフトはMicrosoftがある、となると、企業の中で、多くの人が関わり、ビジネスの根幹になるような「存在感のある業務」には、もう既に巨大ベンダーの製品が使われているのだ。製品ベンダーからしても、ここに今更参入したところでほぼ勝ち目は無いし、旨味もない。

仮に「今から新しくビジネスに参入する」となると、競合がまだやっていない領域、となり、例えばSAPでカバー出来ない経理の領域、とか、経費精算、とか購買のちょっとした管理業務、とか物流の配送管理の一部、とかどうしても、特定の業務に特化したニッチなプロダクトで勝負せざるを得なくなる。

つまるところ業務ソリューションの「ネタ切れ」だ。

「会社の中の業務を効率化する」ことがSaaSの使命だとしたら、ほとんどの業務領域には何らかのプロダクトが「出揃って」しまって、お客さんの会社の業務が何か抜本的に変わらない限り、大きなイノベーションが生まれにくい状況になっているのだ。

そんなわけで、「これから爆発的に成長するようかSaaSの会社ないかな?」と思って探しても、「なんかパッとしないなぁ」という感想を持ってしまうのだ。(唯一、ServiceNowは面白いポジションにあるのではないかと思うけど)

一方で、データ基盤やセキュリティが今なぜ世界中で「元気」なのかといえば、たとえ、会社の業務は変わらなくてもテクノロジーは進化する、からだ。

テクノロジーが進化すれば、そこに対応するための新しいプロダクトが必要になる。

例えば、CrowdstrikeやZscalerが伸びているのは「クラウドの普及」によるところが大きい、企業がシステムをクラウドに移行するようになり、これまでとは違う新しいセキュリティの仕組みが必要になったことから成長している(サイバー攻撃の増加とか色々理由はあれど)

Snowflake、Databricks、Confluentが「キテる」のだって、デジタル化とクラウドの発展が進み、データ量が爆発的に増え、それを分析、活用するための新しいプラットフォームが必要になったからだ。

こういった、インフラを支えるテクノロジーベンダーは、一度その領域でデファクトになってしまえば、企業規模や業界を問わずに爆発的に普及するポテンシャルがある。

業務特化型、業種特化型のSaaSに比べると、より大きな成長の可能性があるのではないか、というわけだ。

ということで、今、日本のトレンドはアプリケーションレイヤーの「SaaS」だけど、世界はもうSaaSのスタートアップの流れは一巡し、インフラ、テクノロジーを支えるベンダーが勢いがあるんじゃないかなって話。

昔はビジネスアプリケーションがある意味「華型」のような所もあったけど、そのトレンドも徐々に変わりつつあるのかなと。

SaaSはビジネス課題に直接リーチできるので、確かに仕事としては楽しい、しかしこの業界で中長期で安定したキャリアを築くなら、テクノロジー寄りの知見やノウハウも無視できないよな、と思う今日この頃。

最後に、ここまで書いてきた考察のように、今イケている企業はどこか?転職するならどんな会社いいか?相談するための手段として、「業界特化型エージェント」つまり、「外資ITの専門チームを持った転職エージェント」に相談するのはオススメです。

「業界特化型の転職エージェント」は、小規模な会社を含めると、それこそ無数に存在しますが、初めての場合は、やはりある程度、大きめの会社を選んだ方が安心感はあります。

私のオススメは、「JAC Recruitment」「エンワールド」の二社です。

いずれも、外資系に特化した専門チームがあり、案件は豊富、エージェントも経験豊富な方が揃っています。顧客満足度も両社、非常に高く、安心して使うことが出来ます。

まず「JAC Recruitment」は、ロンドン発祥の日系転職エージェントということで、外資系企業の求人に強みを持っています。

外資IT業界出身の方も多く、私が相談した際も、外資IT出身の方に担当してもらい、非常に話が早かったですね。

そして、「エンワールド」は、大手人材会社「エン・ジャパン」のグループ会社で、グローバル人材の篆書甲子園サービスに特化した会社です。

業界に特化した企業だけあって、しっかりとした専門性を持った人が多いため、こちらもオススメです。

いずれも登録だけなら無料なので、「とりあえず話を聞いてみる」くらいの手軽な気持ちで一度面談をしてみるのが良いと思います。

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